民事再生とは
民事再生とは裁判所を通じて事業の立て直しを図る制度で、「自力再建型」、「スポンサー型」、「清算型」の3つのタイプがあります。
事業規模が相応に大きい会社は、債務超過状態に陥って倒産すると、多数の雇用が失われて経済全体に悪影響が出る場合があり、民事再生はこうした経済損失を軽減する目的で作られた救済制度です。
このほか、直面する危機を乗り切れば将来的に黒字化を目指せるだけの収益性がある場面で、裁判所から民事再生の許可が出るケースが多いです。
規模が小さい中小企業でも認められるケースが多いので、債務超過など経営が行き詰まった際は倒産・破産ではなく民事再生で対処できないか検討してみてください。
3種類の民事再生
本業の収益性があるなど債権の返済計画を立て直して将来の収益で自力対処する
スポンサー(出資など)の支援を得て再建する
事業の全部または一部を受け皿会社に移管して旧会社を清算する
上記3種類の対処法があり、最適な方法は状況によって変わってきます。
直面する資金繰りの問題を解決しても、事業を継続することで赤字の膨らむ恐れが大きい場合はスポンサー型か清算型で進めるべきです。
民事再生する条件
民事再生は3種類のパターン全てにおいて、一定の基準をクリアすることが申立できる条件です。
民事再生するには、原則として次の3つの条件を全てクリアする必要があります。
民事再生は追い込まれてから裁判所へ申立をするのではなく、再建に向けた事業計画を作り債権者の同意を取るなどの事前準備が必要です。
経営が厳しい状況で民事再生してでも事業を存続させたい場合は、専門性の高い弁護士などへ相談することから始めてみてください。
会社更生との違い
経営難に陥った会社の事業を存続させるには民事再生の他に会社更生という方法があります。
会社更生と比較した民事再生の違いは次の通りです。
- 個人事業主でも利用できる
- 経営者がそのまま経営を続けられる(会社更生は役員全員退任が基本)
- 管財人の選任が原則不要
- 株主の権利が維持(会社更生は100%減資が基本)
- 租税を随時返済する義務がある
- 債権者は担保権を実行できる
主に民事再生できない状況の株式会社が会社更生を活用する流れになります。
民事再生のデメリット
民事再生には以下のデメリットがあります。
- 社会的な信頼を失う
- 再生に失敗=破産になる可能性が高い
- 担保財産を回収される恐れがある
- 不採算事業の切り離しなど事業規模削減を求められることがある
- 債務免除益課税の発生
最後の債務免除益課税とは、民事再生によって債務免除される部分を利益をとして計上する必要があり、課税対象益が増えることです。
経営権を残して事業を存続できるなどメリットが大きい制度ですが、民事再生を選択すると社会的信用の欠落や担保差し押さえ問題など茨の道が待ち受けていることが多いです。
状況によっては、民事再生せずに倒産させた方が経営者にとってのメリットが大きくなることもあるので、必ず幅広い選択肢を持って比較検討するようにしてください。