新規事業の展開を検討する時
企業を経営している以上、いつまでも同じ事業のみを続けるというわけにはいきません。
タイミングは違うにしろ、ほとんどの企業は初期の事業とは違う新規の事業に進出して行きます。
新規事業の展開する際には、事前にいくつかのことを検討しなければなりません。
具体的にどのようなことを検討すべきなのか、今回はこの点を解説していきたいと思います。
金銭的な面
新規事業の展開を検討する際にまず何と言っても考慮しなければならないのは、金銭的な面です。
企業における金銭的なことと言えば、売上、借入れ、経費など様々ですが、新規事業の展開に関して言えば1つに絞られます。
それは、その企業の資金力です。
新規事業を展開するには、事業計画、人員、物資、新商品(またはサービス)など様々なものが必要になりますが、最も必要度が高いのが資金なのです。資金無くして新規事業無しと言っても決して言い過ぎではないのです。
現に、新規事業の展開に失敗した企業の多くは資金力不足が原因で躓いています。
では、何故資金力が大切なのかと言えば、それは新規事業の展開には大きなコストがかかるからです。
開発費・製造費はもちろんこと、流通費や人件費、広告費なども必要になり、場合によっては新しい事業所を設ける必要も出てきます。
また、この他にも細々とした出費が色々と必要になります。
新規事業を展開しようと思えば多大なコストの発生は決して避けて通れないのです。
資金力が不足しているとこうしたコストを十分に支出することができず、多くの場合事業の失敗に直結してしまうことになります。
ですので、新規事業の展開を検討する際には、自社に十分な資金力があるかどうかを十分に検討する必要があります。
時間的な面
次に、時間的な面に関して触れていきます。
一口に時間的と言っても色々なポイントがありますが、最も重要なのは新規事業に乗り出すタイミングです。
タイミングが悪ければ、いくら良い計画・人材・技術が揃っていてもその事業は失敗してしまいます。
では、新規事業を展開するのに最もふさわしいタイミングはいつなのでしょうか?
この答えはもちろん、企業の規模や業種などによって変わってくるわけですが、最もリスクの少ない時期はどのようなケースでも共通している。
それはズバリ、既存の事業(本業)が順調な時です。
何故このタイミングが良いのかと言えば、それは次のような理由があるからです。
本業が順調な企業は多くの場合以上の条件を備えています。
- 事業計画を作る時間的な余裕があるから
- 社員のモチベーションが高いから
- 会社の評判が高い時期だから
- 例え新規事業に失敗しても、倒産する危険が少ないから
一方で、これとは反対に本業が不調であるにもかかわらず新規事業に乗り出す企業もあります。
こうしたケースでは、経営者の多くは「起死回生」「一発逆転」「後がない」といった気持ちで新規事業を始めるわけですが、このような事業はほとんどの場合失敗します。
その原因は簡単で、以上に挙げた条件が揃っていないからです。
本業が順調な企業でなければ、新規事業を成功させることは難しいのです。